「二人の歴史」




「モツアルトでしたよね?“2台のピアノのためのソナタ”」
「あの時は…谷岡先生にはしてやられた感じだったな」

飛んで、跳ねて…
でも、こいつのピアノのすごさを確認した曲だ。



「あとはー…ベトベンの春!」
「峰の試験の課題曲だろ?お前らには苦労させられてばっかだよ」

“お色気作戦”だなんて薄着してるから
試験当日に風邪なんかひきやがって。


「Sオケはー…のだめは学祭でしか演奏はしてないし」

…でも、あの“英雄”がなければ、
Sオケの初ステージは成功しなかった、
なんてまだ言ってないことだな。
いつか教えてやるか。


「学祭と言えば、やっぱりラフマニノフですよね!」
「あの時お前は、連弾で満足してたよな」
「いつか絶対オケとあわせてみたいです!ゴールデンペアで!」

お前を、引き上げるチャンス、その1。
失敗はしたけど。


「R☆Sのブラームスには、感動しました!」
「お褒めの言葉、ありがとうございます」

あの公演のあと、飛行機に乗れるようになったんだ…


「でも、お前のコンクールのシューマンも相当なモノだったぞ」
「…あれは…おいといてください」
「あの失敗があるから、今があるんじゃないの?」

あのコンクールでオクレール先生に見出されなければ
今こうしてふたり、パリで生活をしてなかったかもしれないし。


「そうですよね!センパイもティルで失敗しましたし!」
「うるせ」
「で、すぐに立ち直ってるし。のだめは半年かかったっていうのに」
「オレは常に失敗と正面から立ち向かってるからな」

なんて。
偉そうなこと言ってみたり。


「デビューコンサートも、素敵デシタ…はぅん…」
「…お前、何思い出してる?」

デビューとともに…変態の森へ踏み込んでしまった日だ。


「でも、やっぱりボレロ、一緒にやりたかったデス」
「ゴールデンペアでコンチェルトまで、共演はとっておくんじゃないの?」
「コンチェルトは当然デス!」

うん。これから。
いくつ重ねていけるか。
二人の音楽を。


「あー、でも、始まりは…」
「始まりは?」
「やっぱ言わね」


あの、“悲惨”を耳にすることがなければ。

きっと、今、こうしてふたりでいることはなく
オレは沈んだままで

お前も違う道を歩んでいたかもしれない。

いつか、ちゃんとのだめが“悲愴”を弾けるようになっても、
オレは一生、あの音を忘れないだろう。





お題提供 真昼の夢


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始まりは、“悲惨”だった。
ってなんかヘン(w



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